【コラム】バスツアーの企画について(山本)

こんにちは。合同会社フォーシスターズ、四女の山本紗希です。

これまで私が観光業界で取り組んできた仕事を紹介します。今回は、私が新卒入社して最初に配属された日帰りバスツアーの企画販売の仕事についてです。

日帰りバスツアー 発地型と着地型

日帰りバスツアーは、お手軽な料金で食事や観光、お土産を買って1日遊んで帰ってこれるツアーです。発地型と着地型があり、いずれも個人旅行者向けですが、私が最初に配属されたのは発地型の部署でした。発地型は、住んでいる地域の方をエリア外へお連れする、私の場合、香川県のお客様を中四国や関西に日帰りでご案内するバスツアー企画をするのが仕事でした。後に、着地型にも取り組むことになりますので、記事の後半に書きます。

どんな発地型ツアーを企画してきたのか

少し遡って、私は就活のテーマとして「小さな会社で大きな仕事をする」、「人を幸せにするお手伝いをする」の2つを掲げていました。
今となっては、「小さな会社で大きな仕事」というのを各社の人事の方にお伝えしていたなんて、大変失礼な話であると思うのですが(笑) それをよしと拾ってくださったのが、香川県のバス会社でした。自社バスを活用したバスツアーを企画しており、小さな会社でしかやれないようなちょっとニッチな企画がお客様から評価されていました。当時、企画をした人が添乗員をするという決まりだったので、企画をしながらチラシを作り、添乗員までこなしていました。

いま思い返すとおばけ体力…

初めてチラシに掲載されたツアーは、神戸モスクに入ってお祈りをし、ハラルフードの店にいって買物をするツアーでした。以降、ニッチ企画を作りまくったのかというとそうでもなく、体育会出身で体力があるため歩き企画を担当することになり、週2~3回は京都トレイル、六甲山、歩き遍路など、関西と四国の低山ハイクを添乗していました。また、夏にはカヤック、冬にはスノーシューと、ご高齢でも楽しめるアウトドア企画を出したのですが、他社がやらない企画ということもあり満席御礼でした。個人的にハマったのが自衛隊見学ツアーです。主には、航空祭とブルーインパルスの追っかけツアーですが、春は桜の綺麗な呉にある海上自衛隊 幹部候補生学校を企画することもありました。

担当していた「アウトドア」と「自衛隊」は、どちらもバスツアーの王道からは外れているものの、リピーターが多い企画です。最初に来てくださったときに心を掴むことができれば、長くリピーターとしてついていただけます。「アウトドア」であれば、山はいくらでもありますし、季節を変えれば何度訪れても楽しいです。そして、「自衛隊」の航空祭は毎年ほぼ決まった時期に各地で開催されるので、これも毎年のイベントとして来ていただけます。中小の旅行会社が王道企画をすると、どうしても大手旅行会社と値下げ競争に巻き込まれます。そうならないためには、王道ではない企画を選んでくださるお客様を見つけ、リピートしてもらえる仕組みを生み出す必要がありました。

同じように王道を外れた人気企画で、「パン屋めぐり」ツアーもしていました。こちらも回を重ねるとリピーターがつき、私も嬉しいおいしい楽しい企画でした。こちらは私が大学4年間パン屋でアルバイトをしていた知識を生かした企画でした。「知識があるか」もしくは「好きか」のいずれかがないと、誰にでも真似できる企画になってしまうからです。

現在も中小企業バス会社様の企画のお手伝いをする仕事を行っています。関西、四国、中国については、合同会社For sistersが強みを活かせる地域です。ぜひお声がけいただけると嬉しいです。

着地型ツアー 企画ができてもどう売る問題

日帰りバスツアーを企画していた頃から、少しずつ個人向けの着地型ツアー、つまり香川県に来てくださった世界中のお客様に参加していただくためのツアーも企画していました。直島をはじめとする瀬戸内の島々を巡るツアーがその代表となります。香川県で仕事をしているのだから、当然、さまざまな人との繋がりがあり、企画も次々と完成します。一方で、これまでツアーに参加してくださったお客様は、香川県在住のみなさま。これまでと同じルートで販売していても、売れるわけがありません。ここが着地型ツアーを行う際に、多くの会社がぶつかる壁の1つではないかと考えます。

当時、私は個人向け旅行商品、タクシー企画や路線バスの個札を代理店に売り込む営業も担当していましたので、瀬戸内国際芸術祭を巡るツアーを企画し、同じように日頃お世話になっている代理店を片っ端から巡りました。ここで大事なのは、代理店を周ることではなく、代理店の誰に会うのかだと思っていたのですが、これまでの仕事経験もあり、商品掲載の依頼まではスムーズに進みました。しかし、ここで再び問題発生です。路線バスやタクシーは在庫が管理しやすいのですが、ツアーというものは在庫管理がとってもやっかいです。昼食や観光に合わせて、手仕舞い日はバラバラですし、システム上で各社に出した在庫をどう管理していくのか、頭を悩ませることになりました。お客様が自社HPまで辿り着く可能性が低いことを考えると、どうしても代理店やOTAに頼らざるを得ないという状況でした。SNS活用、デジタル広告、口コミなど、デジタルマーケティングをもっと理解して活用することができていれば、直販の可能性があったかもしれません。

私が当時やっていた中で1番大きな着地型ツアーの企画は、瀬戸内国際芸術祭のツアーの企画でした。デイリー出発のベーシックに島を巡るコース、そしてイベントや特別な体験をいれたピックアップデー出発のスペシャルなコースを出しており、50名近い添乗員とガイドと協力して、日々のツアーをまわしていました。

着地型ツアーを運営する上で大変なこと、1つは言語、そしてもう1つは食事でした。海外のお客様からの予約もいただくのですが、そのためにはHPや当日の資料、スタッフまで英語対応する準備が必要です。日頃から英語を使った仕事をしているわけではなかったので、英語対応の難しさに疲労困憊でした。参加した海外のお客様からは、「地方に来てまで完璧な対応は求めてないよ。日本人の方と一緒にツアーに参加できて、お喋りができて楽しかった」というお声をいただくことがありました。このお声にとても救われたことをよく覚えています。また、もう1つ大変だったことは、食事です。日本人を相手にした発地型ツアーでは、ヴィーガンやベジタリアンの食事対応を希望されることはあまりありません。しかし、海外のお客様の中には、当日に申し出されることや、地方だからできないと端から思って来られる方もいらっしゃいます。できるだけ食べてもらえるようにと、果物をリュックに突っ込んでいったり、弁当パックをいれて、食べられないものを分けた別弁当を即席で作ったことがありました。一生懸命にやった対応はお客様に伝わるもので、端から食事の準備はできませんとお断りするのではなく、スタッフたちととにかくやってみようとトライしていたツアーでした。

瀬戸内国際芸術祭のツアーは、コロナ前の2019年は満席御礼、キャンセル待ち多数でしたが、2022年は非常に苦しい集客状況が春夏と続きました。それでも、2019年、2022年とリピートしてくださるお客様や2日、3日と続けて参加してくださるお客様もいました。遠方からのリピーターなんていないと考えてしまうと思うのですが、ツアーの満足度が高ければ、また来てくださるということが実感できました。また、イベントに付随したツアーということで、「前回もあったあのツアー」と認識していただくことができ、回を重ねるごとにリピータ―が増える予感もしていました。

そして現在

これらの反省から、現在は、デジタルマーケティングに強いベンチャーにフリーランスとして参画し、経験を積んでいます。また、そのアウトプットとして、ゲストハウスでアルバイトとして働きながら、勉強したことを実践しています。これまで、口コミ管理、OTAサイト等の整備とあわせて、Googleスプレッドシートなどを活用した業務改善を行ってきました。小さな会社にいた私だからこそできることもあると思いますので、小さな企画や改善からぜひお声掛けください!

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